2ntブログ

「女性営業部長プライドの代償  ~ 週末の上司 ~」





AM1:03・・・  暗闇の中にデジタルの青系の光が光っている。
眠れない。降り続く雨のせいだろうか。
いや、エアコンはしっかりと仕事をしている。
それに・・・  隣のベッドで眠るアイツは反対側を向き寝息を立てて、
俺の事など気にする事もなく、きっと気持ちよく朝を迎えるのだろう。
23時過ぎにベッドに入り、比較的早い時期にウトウトした気がする。
でも、それは僅かな時間で終わった。
心当たりがある。きっと昼間の事を引き摺っているんだ。
仕事先で見掛けた憶えのある顔。もうあの頃に増して老け込んでいたが。
それでも忘れるわけがない。そしてあの人の顔を思い出したならそれは、
そう、あの女へと繋がって行く・・・


まだ10年は経たないと思う。今年36になった俺が20代を終わりかけた頃の事。
今の二つ前の職場での記憶だ。
まぁ現在は出向中という立場でもあるから、会社としては一つ前の会社となる。
ずっと営業畑でやってきたが、その会社は中規模の食品製造会社で、
代表するヒット商品の2.3点こそスーパーなどで全国的に扱ってもらっているものの、
他の商品は本当に苦戦していた。
営業部の基幹は東京本社が担っていて、代表商品の納品先である大手スーパーなどは、
本社の営業部員が各取引先毎に個別担当方式で専任で行われていた。
一方、“その他商品(苦戦している商品)”は各地域支社・営業所の担当営業が受け持つ。
当然の事だが、商品力の無いこちらの商品を担当する現場の営業担当には、
目に見えるような営業成績など簡単に出せるはずもなく、
月末・年度末になればいつでも本社営業から電話・FAX・来訪、圧力が半端ない。
そんな、でも当たり前の状況の中で突然異変が起きた・・・
“我社初の女性営業部長誕生”の話。
本社営業部からやって来たその女・・・

懐かしい話だ。そう、成瀬時子。
本社の営業部で女性初の係長・課長と出世して、次長になって数ヶ月だったはずだ、
この支社にその女がやって来たのは。
その時、つまり俺が30前だった時に、確か50を回ったばかりだったと思う。
一言で言えば“絵に描いたようなヤリ手”、それも女性版としては古いタイプかもしれない。
もちろん営業先・上役に対しては最高の笑顔を見せる。けれど・・・
俺たち末端の営業マンはもちろん、事務職や清掃のパートさんにも罵声を浴びせるタイプ。
確かに指示は的確だし判断はいつも“正解”へと繋がっていた。
正直誰も逆らえなかったし、上下関係以前に用意できる意見など持ち合わせなかった。
あの女がやって来た時からあの職場(支社)はあの女の独壇場。
支社とは言っても東名阪に滑り込んだ支社だと言うのに一瞬にして、
俺たちの職場は女性初の営業部長の色一色に染まった。

成瀬時子・・・  あの女のせいで何人辞めて行っただろうか。そして結果的に俺も。
でも、一つだけ・・・
俺たちあそこから弾き飛ばされたメンバーも憎しみだけになっていない理由がある。
理由がある。
そうだ、あの今は老け込んだ爺さん、あの人の御蔭とでも言うべきなのか・・・


当時営業部からは毎月のように退職者が出ていた。それは事務員も含めて。
俺たち末端や事務員の子はともかく、やはり一番大きかったのは直属の係長が退職した事。
課長はなんとか我慢していたが、俺たちの不満を一手に引き受けていた係長は限界だった。
少し大きなプロジェクトが動いている最中、部長・課長(会社側として)対現場(俺たち)、
この構図が鮮明になり、亀裂が決定的になり、そして運悪く、
そのプロジェクトの担当をしていた俺の同期が大きなミスをして、係長はそれも背負った。
俺たちの営業先というのは大きくわけて2通りある。
一つはスーパーやディスカウント店で、まぁ、それの地方版というだけの今時の物。
バイヤーにしても店長や担当者にしてもサラリーマンであり、“今風”が通じる。
しかし厄介なのがもう一方、本社営業では少なくなっているが、地方支社・営業所では、
今でも卸問屋やその類の業者が多く残っている。
そしてそんな現場に限って“今風”の通じない曲者の爺さん(長老)が幅を利かす。
剛腕の成瀬部長も、スーパー・ディスカウント店系では本社時代の手法で成績を伸ばすが、
一方の卸問屋・中間業者系ではまったく成績が上がらない。
と言うよりも現場は別として、先方の担当者は人間関係に重点を置かない成瀬部長を、
そんなあの人を嫌っている人が多かった。

そう、同期のミス・係長の退職、あのプロジェクトの現場でそれは起きたんだ。
地域では一番の卸問屋の社長(今は会長になっている)であり、団体の地域理事長、
そして我社がスーパー系とは別の商品企画で打って出ようとした本社肝いりの・・・
我々の支社が担当する地域は分かりやすく、その社長の一声で中間業者系は纏まる。
逆に言えば、その社長が首を縦に振らない限りその企画の成功は無かった。
地方とは言っても、今時もう全体の販売量の2割を切る扱いしかない中間業者系だが、
特に今回の企画では小型店舗・個人店向けへの期待が特に大きかった。

続くトラブルの中、そのうちその社長はむしろ俺たちを可哀想に思ってくれていた。
昔ながらの人情あっての取引、温もりのある関係を言って来る人だ。
今でも問屋の社長さんなんかには気は良いが、短気で勝気な人は多い。
担当者個人が信用されるまでは相手にされないし、“会社が・・・”という言葉を嫌う。
そして伝統的なのか、それとは別か・・・
でも、相変わらず“女だてらに”という風潮ははっきり残っている。
分かり合えず、上手く行くはずもないのだが成瀬部長もまた、やり方を変えない。
と言うか、おそらく問屋の社長たちの“古い頭を変える”ぐらいに思っていたのだと思う。
何度ももめて、そして担当者が謝りに行き、次は係長不在のなか主任が、
そして課長まで行くようになっていたが、もう納まらない。
「私が行ってはっきり言うわ。頭が古いんだよねぇ~  卸業者の時代じゃないんだよ!」
成瀬部長もまた堪忍袋の緒が切れたのか、相手を倒す覚悟のような物言いだった。
一週間ずっと現場は荒れ、もうその場しのぎの手段は尽きた週末金曜、その時が来た。
社長さんを含め問屋会の理事3人が主催する老舗の料亭で行われる宴席に、
俺たち支社のプロジェクトメンバー5人が呼ばれた。
同僚の現場職3人(木下・高田・青木(俺)、相良課長、そして成瀬部長の5人が・・・


私鉄沿線ではあるが徒歩3分ほどの場所。電車の音も聞こえている場所。
なのに木々が生い茂り、石畳の道が奥へと続いている。
接待などで数回来ているが、ここに来るといつも緊張する。5人揃って一列、縦に。
先頭を行く部・課長に少しだけ風格があるとは言え、
吊るしのビジネススーツの面々にはやはり敷居が高い。
それでも一人、先頭を行く厚手の黒いロングコート広げて颯爽と歩く部長には力強さも。
けれど・・・  足早に歩くせいなのか、時折聞こえるため息が先を暗示しているよう。
確か名前の付いた座敷が5部屋ある。長い廊下の奥、案内されたのは一番奥の座敷。
この料亭では特別室のような格で扱われているその座敷、俺は初めてだった。
重要な商談やフィクサーの密会に理由されるなんて冗談交じりに聞いた事はあったが・・・
その部屋は奥まり、他の4つの座敷とは扱われ方が違うことはすぐに分かる。
そう、社長さんがここの女将とは古くからの知り合いだとは言っていた。
それにしてもこんな格式が我々の緊張を押し上げる役目をするものだ。
年配の女中さんに案内され、我々は一番奥のその座敷の中に案内される・・・

縦長の座敷の一番奥、言うまでもなく上座に3人並んで彼らは座っていた。
中央に大山幸太郎社長(大山権一郎商店社長・中央問屋会理事長)
右に飯田社長(エンゼルフーズ社長・中央問屋会副理事長)
左にいるのは・・・
そうだ、秋山社長(ヨツバ食品工業会長・中央問屋会顧問・前県会議員)だ。
上座から一畳分ほど空けて俺たちの席が横に向かい合うように3×2席で用意されている。
5人は一瞬戸惑ったが、女中さんの案内もありそのまま自然に流れのまま、
奥の2席に成瀬部長・相良課長と入り込み、手前が木下・高田・青木(俺)になった。
木下はこのプロジェクトのリーダーで、高田は後から木下の補佐になった人物。
俺は最初から応援的な立場で参加していたが、退職者が重なった事もあって、
いつしか長く携わったメンバーとして首を揃えるまでのメンバーとなっていた。
正直言うと、“とばっちり”のように感じていた時期もあったが、もう言い訳出来ない。
本当はむしろ自分の古くからの担当もあって、飯田社長や秋山社長の方が知っている。
大山社長のクセの強さは聞いていた、他人事だったのだが・・・


「おぉ、あなたが新しい部長さん?  お忙しいのにすみませんな。
   やっとお目にかかれました、光栄です。我々のような規模の小さい業者なんて、
   1年2年、なかなかお会いできないと思ってましたよ。嬉しい限りだ。
   彼らにはいつも無理を聞いてもらってましてな。そう、課長さんにも先日・・・」
言うまでもない、この空間は大山社長の仕切る空間になった。
宴会・座敷、それは彼らのホームグラウンドなのか、自分たちの流れを作っている。
挨拶が終わり時間が経っても一向に仕事の話、今回のプロジェクトの話が出て来ない。
業を煮やしたのか、キャリアらしい部長の方が先に仕事の話を切り出した。しかし・・・
「あんた失礼だな。礼儀を知らんな。ここにいる連中はちゃんと知っている、
   仕事と言うのは信用の上に出来るものだ。あなた、まだ我々との信頼関係、あぁ?
   出来ておらんだろ?! わしらの何を知っていると言うのか?  あぁ?
   部下から聞いたか?  それとも分析でもしたかな?!(笑)
   君のやり方・人間関係、可哀想に、何人も辞めたそうじゃないか・・・」
大山社長のその言葉に部長の顔色は変わった。でも・・・
やめておけばいいのに、部長は説明をしようとする。自分の正当性を、立場を。
会社としての判断、自分の考え方を部長が大山社長に続けていた時、
小鉢を突いていた秋山社長が呟くようにボソっと言った、
「だめだぁ、あんたたちから聞いてた通りだな。自分の事、成績しか考えちゃいない。
   こんなタイプの女性議員が議会でも増えてね・・・  困り物だね」
秋山社長は俺たち3人の方に向かってそれを。
「あなたたち何言ったの?!」と部長は俺たちを睨むが、その視線に気付き飯田社長が、
「これかぁ・・・  なるほどねぇ、女上司ってのはやり難いんだなぁ。
   あんたたちもよく我慢したよ。あの係長さんも良い人だったからなぁ、残念だ」
それも部長の顔を見る事なく呟くように言う。
課長は何も言わない。部長を助ける事も俺たちの味方もしないまま。

悪い空気のまま時間が流れる。上座の3人は呟くように部長に不満を浴びせ続けた。
ついに部長はキレる、「皆さんは結局私が女である事が気にいらないのですよね?!」と。
社長たちもまた慣れたものだ・・・
「はぁ・・・  女っていう動物はどうしてこう感情的になるのかなぁ」
「そうなんですよねぇ~  仕事や取引先にはクールなくせに自分の感情はそのままだ」
「大目に見なきゃいかんですな。女性には生理ってもんがありますからな・・・
   あっ、もうそんなもんはないか?!(笑) まだある?」
「失礼ですよ秋山社長、そう言うのセクハラって言うんですよ!」
「えっ?  飯田社長、取引先でもセクハラって成立するんですか?」
「秋山社長も飯田社長もいけませんよ、今は女性を優遇しないと袋叩きにされる時代、
   秋山社長、あんたセクハラ問題で失職したようなもんでしょ?!(笑)」
「大山社長も人が悪い、それはちょっと言い過ぎです・・・(笑)」
俺たちには新鮮だった。だって、セクハラなんてあり得ない、
完全なる支配状況を作っていた成瀬部長が、俺たちの前でセクハラを受けている。
考えて見ればセクハラが許されないという一方で、こんな御大たちこそが元凶であり、
しかし、それでもなお今の時代に仕事を絡めて女性たちを弄んでいる。
俺たちにはどこか羨ましい存在でもあった。

「部長さん、あんた随分きつい性格だけど、いい女だよなぁ~  もったいない」
「あんた女優のなんて言ったっけ・・・  そう、たかせ志乃の似てるよな。
   キリっとした美人だし、男を寄せ付けないよう威嚇している感じもいい」
「独身だって?!  そんなグラマーなカラダして、夜はどうしてるの? 自分で?」
「あんた胸デカいだろ、Fカップぐらいあるか?  まったくたかせ志乃そっくりだ」
成瀬部長の顔は完全に変わっている。見た事のない程の耐え難い怒りに満ちた表情、
顔を赤める程のものは見た事が無い。
「いい加減にして下さい! 何をおっしゃてるのか分かっておっしゃってるんですか?!
   本当にセクハラですよ。こんな事、今の時代に許されると思ってらっしゃるの?!」
部長の声は座敷中に響くが、社長たちは部長を見る事なく食し談笑し相手にしない。
それどころかさらに油を注ぐような・・・
「君たち、少し相手をしてやりなさい。仕事ばかりじゃ部長さんもストレスがなぁ。
   その為に見せつける様なでっかい乳して、でっかいケツ振り回して・・・」
「こんな女に限って、職場の若い男たちに抱かれる事でも想像してしてるんだろう・・・」

「あなたたちもう許さない!  立場に乗って何でも言っていいわけじゃない。
   もう今の時代には許されない事です!  皆さんの言動、職場に報告します!!」
部長は社長たちに向かって叫ぶように言った。しかし・・・
「あぁ~ぁ・・・  女性って言うのは結局男たちの積み上げた上に載り仕事をし、
   そしてその必死で積み上げられたものの価値も知らずに簡単に捨て壊す。
   私はねぇ、多くの営業さんたちを見て来た。みんなそれなりに必死でね・・・
   一流大学を出て役職の肩書きまでつけて、マイホームを持ち、有名私立の子供を。
   それでもね、会社の為、そして同僚・部下の為、私たちの前で土下座し、裸踊りし、
   必死になって仕事をとって行ったよ。それらは普通に出来た取引じゃない。
   あんたみたいな上司が上にいては、部下が可哀想だ。早く消えなさい。
   女だからと言い訳して、会社の為・部下の為の裸踊り程度が出来ない管理職なら、
   今すぐお辞めなさい。それの方がみんなの為だ。ここから消えなさい!」
誰もが大山社長の言葉に聞き入っていた。そしていつしか視線は一か所に集まっていた。
「何? あなたたち何? なんで私を見てるのよ、おかしいでしょ?!!
   私、セクハラを受けてるのよ。それも昔の例を引き合いに出して強要めいた事・・・
   何?! 見ないで! そんなの仕事の出来る人間のする事じゃないじゃない・・・」
その言葉がいけなかったのかどうかは別としても、さらに視線は強くなっていた。
「君たちの上司はこの程度なんだよ。確かに今時、こんな女が上司の現場で、
   会社の為とか、上司の為とか、そんなものは馬鹿馬鹿しくなるのもわかるね。
   君たちは今までよく我慢していたよ。ねぇ、大山社長」
「えぇ。秋山社長の言う通りだね。会社や上司の為に裸踊りしても、その逆、
   上司は会社の為どころか部下の為になんか裸踊り出来ないってことだ。
   所詮広告塔、いいスーツ着て、そこそこ美人で、そのおっぱいも自慢げだな。
   今までも高値をつけて利用して来たんだろ?!  揉ませず触らせず、いい商売だ。
   原材料だけで稼ぎ放題か?! 部下に土下座させて自分は独身貴族ってとこかね」

「ひどい、ひどい! ねぇ、あなたたち、何か言ってよ! いいなさいってば!!」
部長は俺たちを睨み付けた。すると突然木下が・・・
「うっせぇ! お前のせいで係長が・・・  時田・飯林・作田さん・・・」
部長は理解できなかったようで、
「何? 木下、何言ってるの?!」
部長は聞き返した。
「土下座しろ! 脱げ!! 脱げよっ!  裸踊りしろよ! 社長たちの前でしろよ!
   係長は俺の前でやってくれた。時田も飯林も会社の為・仲間の為にやった・・・
   お前は部長とか名乗ってるくせに、仲間の為にその程度の事も出来ねぇのか!!」
木下の怒りの声が部屋中に響く。もう7対1、視線は1点、そこから動かない。
「みんな何? おかしいでしょ?! どうかしてる。いい加減にしてよ。
   こんなところで何で脱ぐわけ?  セクハラどころのレベルじゃないのよ!」
少し笑って飯田社長が言う、
「部長さん、ならばしっかり認めればいい。
つまり、あなたは会社・部下の為には脱げない。だから言ってあげなさい、
“私は会社の為でも部下の為でも脱いだりしません”とね。はっきりと。
あなたは昔からの取引、部下のとってきた契約が普通にあるように思っているが、
それは違う。彼らが土下座し裸踊りをしとってきた契約が沢山ある。
それを否定するのはあなたの自由だが、彼らは可哀想に・・・
あなたのせいで先輩、そして自分たちが繋げて来た契約がこれで終わると言う事だ。
たった一人の女部長さんの着任を期にね。残念だが仕方ない。ねぇ?!」
大山社長・秋山社長も大きく静かに頷いた。

「ズルい。そんなのズルい。私が女である事を利用している・・・」(部長)
「そうかな。あなたもまた“女だから”今の地位を手に入れたのでは?」(大山)
「違います! 堂々と仕事で勝負して来ました。しっかりと結果を!」(部長)
「あなたの自己満足でしょ?! 私たちには分からない」(秋山)
「 ・・・ 」(部長)
「すべて言い訳ですよ。今、間違いなくあなたのせいで関係は壊れた」(飯田)
「私のせいにしないで!  誰でも同じ結果になってる・・・」(部長)
「違うな、それは。君と違って本物の覚悟ある管理職の女性を何人か見て来た。
   彼女たちは会社の為・同僚の為・部下の為、それぞれ土下座した、裸踊りもした。
   それも繰り返し催促されるような恥ずかしい場面など作らなかった。
   正々堂々、それはそれは潔く、“女性”である言い訳など全くしなかった」(大山)
「そんな・・・」(部長)

潔くと言うよりは明らかに観念したように部長は言った、
「土下座すればいいんですね? 脱げばいいんですよね?!」とそれは悔しげに。
社長たちはこんな環境に慣れたもの、
「勝手にしなさい、私たちは強要などしない。君が土下座しようが脱ごうが、
   それは自分でやる事だ。人のせいにしてはいけない。自分の責任でしなさい。
   どんな謝罪だろうがもてなしだろうが、心の無いものに意味はない。
   中途半端なものは人を不愉快にするだけだ。そんなものはやめた方がいい」
大山社長の怖さを見た。さすが百戦錬磨、田舎社長なんて馬鹿に出来ない。
本社時代からのエリート部長が小さく見える。小娘のように扱われている。
成瀬部長は上座の前で土下座した。“中途半端はいらない”という言葉が効いている。
畳の上に蹲っているかのように、そして長い時間頭を下げていた。
そのままゆっくりと立ち上がり、そしてその場所で・・・

まさか成瀬部長が・・・  あの剛腕・絶対賢者の成瀬部長が・・・
俺たち会社側の人間は部長の後姿を見ている。
畳の上でスーツ姿で立っている、でも、今までに見た事のない部長の後姿。
貫禄のある後姿、“卑猥な言葉”で言えば豊満な体型だ。
黒い上下。ゆっくりとジャケットを脱いでそれを内折に二つにたたんでお膳の上に。
薄く細い縦線の入ったブラウス姿になった。俺たちは座ったまま見上げるようだが、
その背中の肉付きは確かに豊満さを感じさせるものだ。
袖のボタンを外している。そして前を外しているのか、でも俺たちには見えない。
前に並ぶ社長たちは部長の顔を見ているのか、かなり高い位置を見ている。
キツい性格の女性だが、女優さん似と言われるように確かに美人だし、
誰もが言わずも分かっている、その肉体は男を刺激するものに間違いない。
俺たちだって年齢や立場があるものの、それでも気にはなっていた、その胸の膨らみ。
それに夕方になり疲れを見せ肌をテカらせ無防備な表情をしている部長は色っぽい。
ずっと思っていた。きっと自分だけではないはずだ。
すべてはその性格のせい。

パンツスーツからブラウスを引き出し、そして脱いだ。
思った通り、とても肉厚な背中で、社長たちの視線は一斉に胸元に落ちた気がする。
部長が服を置くのが自分の右後ろの為、毎回課長の視線が動いている。
部長の横からの胸元がもろに見えたのだろう、課長の視線がそこに向いていた。
意外と言うか、もっと強さのあるような色合い・デザインのブラジャーを想像していたが、
デザインのすっきりしたサテン地の淡いピンク系のブラジャーだった。
でも、背中に回っているサイドの幅が広く、それは大きいサイズの女性のそれだ。
続いて後ろに手を回した。ブラジャーのホックを外す。
あっという間に肩紐は緩み、片方ずつその肩紐を抜いて行った。
それを二つ折りにしてやはり、また右後ろの御膳の上に。
やや隠してはいるが、課長にはバストトップが見えているだろう。
部長は前を向き、静かに腕を下ろして社長たちの前に立った。
3人の社長の視線は左右に乳房の間を行き来しているのだろう、
大きさ・色形を見定めているような動きをしている。
「いいなぁ。いい形だ。それに大きいねぇ、やはり・・・」
「もったいない、これが誰のものでもないなんてねぇ・・・」
「何よりこれをもっと使うべきだね。君は“らしさ”を勘違いしているね」
社長たちは言いたい放題、部長は無言のまま彼らの視線に耐え続けた、
そして下ろしていた腕を上げ胸元を隠したのだろう、
「お約束を守りました。もうお許し頂けますね?!」とそう言って、
後ろにあるブラジャーを掴もうとした。
「君はやはり誤魔化すね。相手に全身全霊で向き合う潔さがないね。
   彼らが裸踊りをする時っていうのはねぇ、本当に全裸でするもんだ。
   ここまでなんて、そんな交渉事みたいな卑怯の事はしないんだよ。
   だから私たちにその思いが通じるんだよ。わからないかね?!
   君はそこのところをもっと勉強しなければいけない。彼らに教わるべきだ」
「そうですね、部長さんに教えてあげるべきだ。君たちも脱ぎなさい。
   彼女には分からないみたいだから、裸とはどう言うものか教えてあげなさい」
「そうだね、その通りだ。さぁ、君たちの覚悟を部長さんに教えてあげなさい!」

課長はビビっていた。それもそうだろう、運良く部長の上半身裸にありついたわけだが、
まさか自分も全裸になるなどとは思っていなかったのだろう。
我々も正直、確かに数回宴会芸として裸踊りをした事はあったが、
本当は謝罪での裸なんて経験した事はない。
他社の女性営業が脱がされた話は何度となく聞いていたが・・・
そう、確かに部長が脱ぎ始めてから女中さんが一回も入って来なくなった。
暗黙の了解と言うところか。
きっと部長へのあてつけ、正直俺たちも部長を脱がせたくなっていたと思う。
木下も高田も動きが早い。きっと考えている事は同じだ。
男たち3人はあっという間に、そしてやや遅れて課長も全裸になった。
全裸の男たちが部長の後方を囲む形になった。
部長は前(社長たちの方)を向いているままだが、もう全裸になった俺たちを感じている。
完全に性器まで剥き出しにした男たちを間近に感じているはずだ、顔を赤めている。
さっきまでは張っていた背中がやや丸まっている。胸も腕で完全に隠しているようだ。
「彼らには気持ちがあるね、潔い。部長さん、君はここまでかね? 情けないな・・・」
秋山社長の言ったその吐き捨てるような言葉に反応したのか、部長は動き出した。

ベルトを外してパンツスーツは消え、下半身は薄手の黒いパンスト、
その下はガードルを穿いているようだ。
パンストを捲るように剥がし脱ぎ、少しだけトーンの違うピンクのガードルに手を・・・
補正下着は固く窮屈なようで、部長の腕に力が入っているのがわかる。
同時に、その臀部の肉付きもグラマラスそのものだ。
最後・・・  ガードルの大きさのせいかパンティは可愛く見える。
ブラジャー、そしてガードルと同色のピンク。それもついに両脚の間を下りた。
課長の目の前には部長のスーツ・ブラウス・下着一式が積み上がった。
そのまま匂いを感じそうな、生暖かい温もりまで感じそうな山がそこにある。
課長には最高のロケーションだろう。
手前には下着の山がそびえ、そしてその奥には標高の高い豊満な山がそびえ立っている。
確かに全裸だ。あの剛腕部長の完全なる全裸。
男勝りな性格が嘘のような豊満で女そのものの様ないやらしい肉体。
“女じゃないか!  見事に女だ。 隠していたその心、今はそれが恥ずかしい!!”
そう言ってやりたかった。

「ほら、部長さん、振り返ってみんなに見せてあげなさい。見てもらうんだ!
   君の為に沢山頑張って来てくれた部下のみんなに見てもらいなさい!!」
後ろからも部長が震えているのが分かる。恥ずかしさなのか、それとも悔しさなのか・・・
それでも部長は静かにこちら側に向いた。必死で隠したい心を抑えているのが分かる。
不自然な位置で、まるで我慢しているようなままの腕の位置で感じられる。
凄いと思った。50過ぎの年齢、それに全体に多めに肉がついているが、
それでも美しい。と言うか、眩しい程に男たちを刺激して来るその肉体。
重量感のある乳房、でも、しっかりと前に突き出し、きっと男を夢中にさせるものだ。
完全ではないが陰毛は処理されている。その年齢の独身者であっても意識は高い。
下腹部・臀部・太腿、全体に肉を付けているが、まったく太って見せないと言うか、
その膨らみの一つ一つが全てプラスの方向に誘導する美しさがある。
もう熟れ切っているはずなのに、なお気品が感じられるもの。
何より・・・
夕方に感じている美しさ・色気、改めて美しい女性である事が確信できる。
強く・冷たく、男を寄せ付けない威圧感も、その奥にそれを超える女性らしさ、
部長はそれをしっかりと持った、女性らしい女性の肉体をしっかり持っている。


社長たちの成瀬部長への指示はエスカレートした。
しかし部長がそれに反抗する事はなく、全て従うようになった事に俺たちは驚いた。
“ここに来なさい” “ここに座りなさい” “手を外しなさい!”
どれにも従う。隣に座らされれば当然直接触られる。
「やめて下さい! 触るのはやめて下さい! 触らないで下さい・・・」
でも、もう触られてしまえば既成事実となり、握られている・摘まれているに変わる。
大山社長にキスを強要され、後ろから秋山社長が胸を揉んでいる。
それを部長に気付かれないように飯田社長が撮影して・・・
女の中の女と言うか、年配の社長たちに全裸で弄ばれている部長の色気が凄い。
こんな女性としての魅力を押し殺して隠していたのかと思う程だ。
恥ずかしい事に俺たちは皆、立ったまま勃起していた。
社長たちに悪戯されている部長はこちら側を向いているから、俺たちのその姿を見ている。
悪戯されている自分を見ている部下たちが自分を見て勃起している姿を。
無いものにしたいような恥ずかしそうな表情を見せ、でも、
どこかで悲運な女王のような威厳を持ったままのプライドも匂わせ・・・

大山社長は高田にお膳の上を片付けさせ、木下に浴衣の止帯を用意させた。
そして俺と課長を含め指示を・・・
“部長さんをお膳の上に寝かせ縛り付けなさい!”と。
抵抗する部長を俺たちはお膳の上に担ぎ上げて寝かせ、そして手足を縛りつけた。
少しだけ騒いだ部長の口を秋山社長がハンカチで塞いだ。
なんていう景色だろう。
あの、あの成瀬部長が全裸で御膳の上に寝かされ大開脚させられている。
両腕を頭の上で縛られ、それをそのままお膳の脚に縛り付けられて・・・
何より、7人の男たちが全裸の部長を取り囲んで見下ろしている。
激しく動こうとするから、部長の大きな乳房が左右に揺れて・・・
胸元に酒を掛けられ、それを引き伸ばすように乳房を複数の手が包み回す。
秋山社長、そして課長は堂々と部長の下半身側に陣をとって座り込み覗いている。
秋山社長は自分の口の中に入れて濡らした指を部長の中に。そして左右に動かして。
課長は誰よりも嬉しそうだ。
飯田社長はもう堂々と撮影している。部長が気が付いて嫌がったところで後の祭り。
俺たちもいつしか部長に触っていた。大きな乳房を潰すような力でおもいっきり。
これだけの人数が同時に、そして好きなところを好きなように触っている。
部長はどうにもならない状況の中で涙をこぼして悔しそうな表情・・・
俺はその涙の伝わった頬に、そしてハンカチを押し込まれている口を外しキスをした。
ずっと嫌な上司だと、憎しみさえ懐いていた女上司が自然に愛おしくなりキスを。


哀れな人形となった成瀬部長。あんなに惨めな部長はもちろん見た事がない。
そして、沢山の仕事関係者から愛されている部長も。
取引先の“古い頭”の爺さん社長たちに性器を自由にされて。中にも出された。
そんなことをされながらも違う人間が胸を揉み、また違う人間がキスをしている。
女冥利に尽きるし、上司として、担当上司として、最高に潤っているのかもしれない。
今度はビールが塗られた。そして用意された油・・・
ゴマ油だったせいか香ばしい香りが部屋の中に充満する。
豊満な肉体がお膳の上で光り輝き、大きく波打ち揺れている。
生ものだけでなくビール瓶まで出し入れされ、エリート独身女性も壊れそうだ。
まさか遥か年の離れた“あの”成瀬部長と結ばれる事など考えてもみなかった。
でも、付き合っている彼女よりも数倍部長の方が魅力的である事を知った俺。
宴会は深夜まで続いた。


成瀬部長はその程度の事で俺たちの言いなりになるようなやわな女ではなかったが、
どういうわけか偶然が重なって、彼女と別れたほんの一時期、男女関係になった事がある。
彼氏彼女と言うにはお粗末な関係だったが、部長のマンションに入り浸りになり、
そして彼女の肉体に夢中になった時期が・・・
今、思い出した。


AM1:45・・・  真夜中のベッドの中で勃起している。
ため息、そして横を見た。今月に入ってから妻に触れたか・・・
この時間に突然求めるなんて・・・  何を言われるか・・・
それもあの記憶。宴会での成瀬部長、そして一時期付き合った時のあのセックス、
それを思いだして大きくしたそれの処理を妻のカラダでとは失礼な話だ。
でも、こんなに興奮しているのは久しぶりな事、何より妻は毎日欲しがっている。
俺は勇気を出して妻のベッドに入った。
最初は驚いていたが眠くても本能が優先するようだ、御無沙汰だった事もあり応じた。
もちろん妻は成瀬部長の身代わりにされている事など気が付く事もなく、
いつもにない俺の激しさに全身で喜んで見せた。いつもにないサービスもしてくれて。
終わった後に何分もフェラで掃除された事など無かった。何だか申し訳ない。


成瀬部長、今はよその会社で役員をやっているようだ。会わない方がいい。
俺の消さずにしまっておきたい渋く褪せた、でも潤しい記憶。




最後までお読み頂きありがとうございます!
この記事をお楽しみ頂けた方へのおすすめ作品は・・・


「逃げ道のない女」
男勝りで元気がいい女は港も船も潮風も似合っている。飾り気がなく気持ちいい。
しかし広い洋上に出れば自分一人の力でしか乗り切る事は出来ない。それは・・・

「過ぎてなお魅力あるもの」
もう人生の後半に差し掛かっている大人たちにも、もちろん若い頃があった。
その頃の水着を見つければ記憶は華やかだ。でもそれを今着れば意味合いは変わって・・・

「夜の監視員  ~ 23時のインストラクター ~ 」
郊外のフィットネスクラブに勤務する人気者の女性インストラクター。
上司から閉館後の残業を頼まれた。そこに待っていたものとは・・・





(女性上司 豊満ボディ 全裸強要 輪姦レイプ 集団視姦)



テーマ : 読み切り短編官能小説(リアル系)
ジャンル : アダルト

tag : 高慢女グラマラス爆乳スーツ下着姿囲まれ巨乳熟女

カテゴリ
最新記事
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR
リンク