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「穢れの季節」





郁代と一緒になって本当に良かった、心からそう思う。
目の前に横たわる彼女の寝顔、ずっとこのまま見ていたい、ただそう思って・・・


日曜、ベッド横の時計は午前9時、その少し前だ。
まだカーテンを開けていない室内は暗いまま。自分だけ先に目が覚めてしまった。
眠りを挟んでも消えないまま、俺は昨夜の“それ”を引き摺って・・・
半年ほどの恋愛、そしてもう、結婚してから2年の月日が過ぎた事になる俺たち。
普通の夫婦だと思う。二人で始めた新しい暮らし、それも普通だし、
会社での俺、家庭での彼女、きっとどこにでもいる普通の夫と妻の形だと思う。
知り合って2年半、結婚して2年、それでもお互いを大切に思える事、
そこだけは少し自慢できる、そんな風に思っている。

二人の関係が2年も過ぎれば、正直、それほど新しい発見も出なくなるし、
日常の繰り返し、1週間の積み重ねを100週以上積み重ねただけにもなってはいる。
それが安心だし、静かな中で育った関係こそが信頼だから、それも大切だ。
安定した心の距離、そして体の関係もそれに近い物になっている。
子供は自然に任せているが、まだ授かっていない。
今でも週に1.2度愛し合っている俺たちだが、それは少し淡白にもなっていた。
それが正直なところだ。
でも、昨日の夜は久しぶりに違った。と言うか、あんなに激しくなった記憶が・・・
一方的だったのかもしれない。
俺は予期せぬ衝撃に心を搔き乱され、ただ一方的に熱くなってしまった。
今も瞼を閉じ、シーツに包まれ横向きのまま静かに寝息を立てている郁代。
いつまでも昨日の余韻、そして衝撃を引き摺ったままの自分が滑稽にも思う。
郁代は優しい女だ。そして真面目な女。
特別輝いた物など持たない俺に寄り添い、ただ優しく帰りを待つ毎日。
食事・洗濯・掃除、どれもきっちりとした行いをする。
付き合った時もそうだったが、身持ちが堅く、清純とか清楚とか、
彼女が通っていた名門女子高のイメージそのまま、俺は疑う事もなかった。
だけど・・・  2年半、そしてまだ出会う前の頃のイメージまで変えた・・・


昨日は朝から街まで買い物に出掛け、帰りは夕方になった。
早めの夕食を準備し食事を始めると郁代に電話が掛かって来た。高校時代の友人から。
その女性とは親しいようで、時々電話を掛けあう仲のようだが、
昨日は電話の後、それまでの明るい表情の彼女から一転、無口、無表情になった。
“同窓会のはなし・・・”とだけ俺に言って。
早めの食事、そしてスライドして入浴も早くなり、俺たちは少し早く寝室に入った。
鏡の前で髪を解かす彼女、その表情は無表情のまま、
俺は少し気になって彼女を後ろから抱きしめた。そして、
「どうした? 何かあった?!」と少し気遣って彼女に囁いた。
“(小さく頷き) 大丈夫”とだけ言って、彼女はベッドへ。
キスをした。何かを抱えて曇った表情をして見える、そんなままの彼女にキスを。
彼女は瞳を開いたまま、まったく表情を変えない。そして俺を見ている。
俺は少し必死になって彼女を融かそうとさらに強いキスを続けた。
そして彼女のパジャマの胸元を開いた。

郁代は飾り気のない、そう、飾らない女だ。短めのセミロングの髪は淡い黒のまま。
日頃ナチュラルメイクだし、だから風呂上がり乳液程度でも普段と変わらない。
派手な、人を引き付けるような顔立ちではないが、優しく少し大きい瞳、
落ち着いた綺麗な形の鼻、そして少しだけ厚みのある唇、歯並びも良い。
高さのあるような大きな胸ではないが、手で包もうとすればボリュームがあり、
周辺から広くずっしりとした重量感・硬さを感じさせるしっかりした胸。
少し浅黒い系の肌、それはキメが細かくオイリーに感じられるほど艶やかだ。
愛してる。郁代という人間の全て、その心・想い、そして体の全てを・・・

眠りにつく時にはブラを着けない郁代。俺はその胸を口に含んだ。
綺麗に広がった薄茶色は臨場感のある色合いで、そして色は変わらないが、
先端は美しく全体に膨らんで小さく尖っている。
俺は必死で乳輪を吸い、そして舌でその先端を転がした。
彼女の反応が感じられ、俺が両乳房の間に顔を埋めた瞬間だった・・・
「待って!」
彼女は俺を見つめた。そして俺の頬に手を当てて、“聴いてほしいの!”
そう言って静かに話し始めた。


話は彼女が高校時代の話。
今まで聞いた事のない同級生の名前が登場してきた。
俺は不意に思い出した。彼女の幼少期からのアルバムを一緒に見た事がある。
幼い頃、そして大学時代、彼女は本当に清楚そのものだったし、今に変わらない、
家柄や扱いを感じさせる写真が溢れていた。しかし・・・
ほんの数枚だけ、そう高校時代の数枚だけ、少し違う写真があった。
実際はその頃の時代背景・ブーム、人気歌手が流行させたメイク、ファッション。
あの時代の女子は誰もが影響された流行り物だから、特別な事ではないのだが、
その前後、そして今の彼女から繋げて考えてしまうと、少し異質に映るそれ。
メイクをしている。それが分かる写真。彼女として違和感のあるポーズ。
制服のシャツの袖元の捲り方、ボタンの外し方。
何より、郁代はともかく、周りに写っている女子たちの派手な容姿・・・

「絵美って子と出掛けた事があって・・・」
話は絵美という女性と遊びに行った時の話だった。“遊び”に行った時の話。
絵美という女性は他校の女子生徒だったらしく、友人の紹介で知り合ったそうだ。
遊びの先端を行っている子で、年上の彼氏(当時大学生の)がいたり、
男友達(大学生・社会人・同級生)が非常に多く、人気者だったらしい。
その絵美という子が週末に郁代を誘って来たそうだ。
駅で待ち合わせすると、そこにはクルマが待っていた。
大学生の男子が3人乗った、当時人気の2ドアの高級車。
絵美に“彼氏”と紹介されたその大学生は医大生で、実家が医院を開業しているそう。
その彼が運転席、そして彼女である絵美は自然に助手席に座った。
後席に乗り込む時、一人目の男性が先に奥に入り込み、郁代が次に誘導された。
そして最後にもう一人の男が入り込む形で、後席は男・郁代・男となる。
つまり、郁代は二人の男性に挟まれる形で後席中央に座り、ドライブがスタートする。
クルマが向かった先はドライブで有名は場所だった。
海沿いの広い道路、長く続く防風林、そしてその道路が長い坂道になった先・・・
その場所は遠く大型船を眺める絶景が広がる有名な場所。
真下を運河が流れる片側2車線・全長数百メートルの大きな橋、
そして有名なサブネームのついた橋・・・
“ナンパ橋”
カップルを乗せたスポーツカーは勿論、もの珍しさに集まる若者たちのクルマが集い、
男だけのグループ、女性だけのグループ、そして目立ちたがりの改造車まで行き来する。
夜間・休日には賑やかで駐車車両が無くなる事は無い。
一瞬だけ台数が減るのはパトカーが取り締まりにやってくる時だけだ。


郁代たちの乗ったクルマは偶然空いた橋の中央・一番高い場所、そこに駐車した。
橋の両端から一番遠い場所である事もあって、意外に人が少ない。
風が強い事もあるが、カップルたちはクルマの中で話し込んだり・キスをしたり・・・
賑やかな場所の中で不思議と静かな場所になっていた。
また、駐車場所の不安もあるのか、橋の上り始めにすぐに停めてしまうクルマが多く、
先に行く程にゆったりした車間距離になる。
着くや否や、絵美と彼氏はすぐに車外へ出て行った。
強風の中、それでも二人して楽しそうに寄り添って。
郁代もそれに続こうとしたが、
「風強いじゃない!」 「二人だけにしてやろうよ!!」
そんな言葉を両脇に座る男たちに掛けられ、外へ出るタイミングを逸してしまう。
絵美と彼氏はどんどんクルマから離れて行く中・・・

エンジンの止まった車内。会話が途切れれば雰囲気は少しおかしくなってくる。
郁代はずっと外の景色を眺めている。けれど・・・
両脇の男たちの視線が景色でなく自分に向いている事は感じている。
これだけの景色の中、なのに自分だけに視線が集まっている。それもその視線は・・・
必死で外を見ている郁代の心拍数を上げるぐらいにドキドキさせる熱い視線、
それが顔・首元・胸元・下半身・足先、舐め回すように下がり、そして再び上がって来る。
視線の熱さが自分の要所要所に突き刺さるのを感じる、まだ高校生の郁代でもわかる。
「ねぇ・・・」
一人の男が郁代の手に触れた。掃いたいが掃えない。
「綺麗な手だね。絵美ちゃんと違って真面目だよね?! 俺たち郁代ちゃんのが好みだよ」
海の広がる運河の上、強い風が吹く自然の中のようでいて、でも、
静かな車内、郁代は自分の体温が上がり腋汗、そして体臭が広がるのも感じている。
「暑いの? 少し脱げば。遠慮はいらないよ。涼しくなろうよ・・・」
男が郁代のシャツのボタンに手を掛けて来た。
でも、恐怖からなのか、郁代は動けない。相変わらず外の景色を見たままだ。

ボタンが一つずつ外されて行く。真っ白で無地のシャツ、郁代の肌が広がる。
男に握られた片方の手はどこかに持っていかれた。
郁代は我慢しきれず瞳を閉じた。もう一番下まで開かれているシャツ、そして、
自分の手が男に、何かに押し当てられた瞬間。
それを想像したくない、理解などしたくないが・・・
最初は郁代の手の甲を当てていた男。でもストレートだ、すぐに変わった。
男は郁代の手を裏返させ、手のひらを押し当てるように・包み込ませるように、
ジーンズの付け根に押し込ませる。
郁代の顔が歪む。男は露骨で、何とか無いものにしたい郁代に遠慮もなく、
「ねぇ、もっと触ってよ。しっかり握ってってば!」
大きくしたそれを形のまま掴ませようと強い力で郁代の手を誘導する。
地獄が重なる。
もうブラジャー姿にされた郁代、もう一人の男の手は郁代の肌を這う。
いやらしい吐息を吐きながら、男は郁代の首元に顔を埋めて来た。
まだ汚れを知らない年下の女の子に対し、年上の大学生男子が委ねるなんて・・・

瞳を強く閉じたまま必死で固まる事しか出来ない郁代。
やがてブラジャーのホックは外され、まだ硬く青い乳房を直接許してしまう。
絶望に包まれてしまった郁代。
ジーンズのジッパーを下げた男は、直接それに郁代の手を触らせる。
“包め!”とそのまま声が聞こえそうな強引さで郁代を誘導する。
締め切った車内、開放した陰部が放つ酸味のある臭いが充満し、郁代から放たれる汗、
男たちの熱気、少しだけ残っている郁代の香料と混じり合い・・・
その異様な湿気と混じり合った臭いが男たちを激しく刺激し、
乳房を掴む激しい指先・ペニスを掴ませる囚われた郁代の手、
3人が横に座る後席は地獄絵図になっている。
時々このクルマの横を通り過ぎるカップルがガラス越しの光景に気が付く事もある。
けれど、こんな事も含めてこの場所では日常的な事、誰も特別に思わない。
露骨な行為を行っている男女を笑いながら見て通り過ぎる楽しそうなカップルたち。
“あの子やられてる!”
そう思いながらも助けようなんて思わない女、そして興味津々の男。
そんな男の表情を見てヤキモチを焼くように男に言い寄る女の姿、郁代、可哀想に・・・

やがて男は振り向くような姿勢で郁代の曝け出された乳房を鷲掴みして弄ぶ。
その頃にはシャツは無くブラジャーも外されているから、車外からは上半身裸の郁代、
もうそれが見えている事になるのだが・・・
そして捕らえられた郁代の手は無理やり男のペニスを上下させられている。
手の中から大きく飛び出し、郁代のお気に入りのスカートに放出された。
もう一人の男は郁代の唇も奪い、抱き寄せるようにその裸にされた背中に手を回す。
その頃にはスカートも捲られ、そして中に手を入れられて・・・
しかし寸前のところ、巡回中のパトカーの拡声器の声で男たちは鎮静した。
少し遅れて絵美と彼氏がクルマに戻って来た。
“どうだった? 良い感じ?!”
絵美のその言葉で、郁代はこれが絵美の仕込み、そして裏切りであった事に気付いた。
それほど仲がいい訳ではなかった自分を呼び出し、彼氏の友人にあてがわれた自分。
最初からそれを目的に用意された自分。彼氏の友人にオモチャにさせる為に・・・
恐怖から解放されながらも、その悔しさが覆い被さった郁代だった。



突然、彼女はその話をした。
横になったまま無表情で淡々と天井を見上げて話していたが、涙は溢れていた。
怖かったのだと思う、そして悔しかったのだろう。
恋愛中、結婚時、そして今まで、一度も聞いた事の無かった話だ。
ずっと押さえ込み、包み込んでいたんだろう。心の奥底・片隅に。
高校時代の同窓会の話、きっと絵美という女性を紹介した友人を浮かべたのだろう。
そしてその友人が紹介した絵美、そしてその先・・・
まだ高校生だった郁代にはどれだけ恐ろしかっただろうか、その記憶は。
密室に一人だけ取り残され、両脇を年上男性に囲まれ押さえ込まれ・・・
脱がされ、そして如何わしい行為を強要された郁代。
俺は郁代がそんな辛い記憶を抱えたままだなんて昨日まで、郁代の口から出るまで、
まったく知らなかった。
大切な自分の妻の、俺と出逢う前の出来事とは言っても・・・
確かにどんな真面目な人間でも不安定な時期はあるのかもしれない。
まして周りに強く影響され、少しだけ道を逸れてしまう季節と言うものが・・・
あの郁代にはそんな想像すらあり得なかったから、俺には衝撃が大きかったが。

昨日の夜、俺は必死で郁代を抱いた。彼女のその辛い記憶を消してしまいたい思いで。
車中で一人身動き出来ないまま男たちに悪戯され怯え震えていたその記憶を消したい。
全ての汚れを消し去るように彼女の全身を愛撫し、まだ蕾色だった弄ばれた乳房、
そして強引に押さえつけられて誘導されたその手に手を重ねた。
その意味を分かったのだろう、彼女は瞳を潤わせながら強いキスをくれた。
彼女が顔を歪める程に強く彼女の乳房を掴んで揉み、彼女を俺の上に載せ俺は突き上げた。
こんな激しいセックスはした事がない。
俺の腹部・胸元、そして顔にまで彼女の涙が弾け飛んできた。
強い結びつきを、そして愛を強く感じられる重なり。
ベッドを大きく揺らす激しいセックスで尽きた後、彼女は息を上げたまま、そのまま、
彼女は俺のペニスを口に含んでくれた。
今までにそんな激しい彼女を見た事はなかった。
“むしゃぶりつくように”
そして大切なものを包み込むように、熱く、そして優しく包み込んだ。
俺は、自分の陰部に顔を埋め、そして俺を見ている彼女をずっと見ていた。
綺麗だ、普段見る事の無い、しっかりと瞳を見開き強い表情をしている。
自分の妻が、今まで知らなかった郁代の美しさを再認識した瞬間。
本当に丁寧に、そして磨き上げるようにフェラをしてくれた彼女。
俺は・・・
再び彼女を抱き寄せた。そして彼女の陰部に綺麗にされたばかりのペニスを押し込んだ。

今までの二人にないセックス。2年半の時を重ねただけではなかったセックス。
激しくお互いの口中を求め、彼女の乳房が潰れる程に抱きしめ重なり合う。
一つのままで激しく上下し、やがて俺は厭らしい程に彼女の脚を大きく力ずくで広げ、
ワギナに自分の陰部を押し当てる勢いで大きな音を立てて突き上げた。
彼女は上体を大きく前に突き出し、ベッドヘッドの枠に必死でつかまって・・・
俺の顔の前で激しく揺れる彼女の乳房。しがみ付くように必死で揉み上げた。
見上げた彼女の顔、瞳は閉じていて、その表情はまるで全身で別世界を感じているよう。
俺は起き上がり、彼女を下にして脚を大きく広げ、その中央に思い切り突き刺した。
自分をこんなに厭らしく激しくする郁代の性、その姿・魅力。
乳房を掴み上げ、それに摑まるように激しく突いて彼女の中に尽きた。
おそらく物凄い量を放出したのだと思う。彼女から抜いた途端に大量の精液が流れ出した。
それは薄い色で粘度がなく、俺の彼女への愛、そして彼女の俺への愛、
そのお互いの相手への思いの全ての混ざり合った愛の全てに思えるものだった。


郁代にもあった穢れの季節。俺の知らなかった・・・
でも、いい。
より一層郁代を好きになった自分がいる。その辛い記憶を俺に開いてくれた。
2年半という時間が長いのか短いのか、でも時間を必要として、距離を必要として、
今やっと深くなれたのだから。
肉体や記憶の汚れなど郁代の魅力にまったく影響ない。
仮に高校時代、郁代が穢されたのだとしても、それでもいい。
それも含めて素敵な女性だ、郁代は。
今、俺の前にいる郁代はそれも含めての郁代なのだから・・・




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