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「雨雲、そして二人はずぶ濡れになって」




「飲みが足りないよぉ~ リョウはテンション低いんだよねぇ~」
「私3曲連続? もっと?! もうライブ状態じゃん」
確かに智美のライブを見ているようだ・・・

俺と智美は元々中学の同級生で、数ヶ月前にあった同窓会で付き合う様になったばかり。
中学の頃は同じクラスでも全く話す機会がなかった。
なんて言うのか、別世界の人間だったし。
智美はバレーボール部のキャプテンをやる様な奴で、
そんなに頭が言い訳でも美人なわけでもないんだけど、クラスを超えた人気者だった。
それに比べると俺は地味で、帰宅部だし限られた友人しかいなかったし、
智美とは本当に接点がなかった。

二人は別々の高校、そして大学へと進んだ。
智美は高校のバレー部でも活躍してたらしいんだけど、靭帯を痛めて辞めたよう。
俺は高校時代も帰宅部のまま。そしてこの時代は黒歴史かもしれない・・・
イジメ。周りはイジメとは思っていなかったのかもしれないし、
明確になるものじゃなかった。それが奴らのやり方だった。
笑顔で話しかけて来て楽しそうな雰囲気を周りに見せてるんだけど、
奴らは俺を中に入れながら孤立させるのが目的。それを楽しむグループだった。
大声も出さなければ感情も荒げない。暴力も無ければ特別な言葉も使わない。
でも、いつだって俺を中央にして、それをゲーム代わりにしていた奴ら。
嫌な日々だった。最低の高校生活。

それを少し引きずったまま大学での生活も始まってしまった。
元々地味だった中学までの俺、そして男子校での高校生生活は嫌な日々だったし・・・
“キャンパスライフ”なんて華々しい環境とは無縁。
数人の仲のいい友人は出来たけど、女の子と友達になる事はなかった。
新しく出来た友人も俺と似たタイプの人間ばかりだったし。
静かで何も変わらない退屈な日々を送っていた俺に、中学時代の親友から誘いがあった。
特別いい想い出がある訳じゃないけど、スルーしたい高校時代、そして味気ない今の毎日。
ずっと参加していなかった同窓会に久しぶりに出てみた。同窓会と言うよりクラス会か。
俺自身は勿論、それ以上に周りの人間が珍しがって、次々に声を掛けられた。
そんな中に智美もいた。あの頃にほとんど話した記憶もないのに・・・
途中からグラスだけ持って俺たちのテーブルに来た智美は、
結局最後まで俺たちのテーブルにいた。楽しそうに、しかも自分が中心になって。

そう、その時、俺に話すわけでも俺を見るわけでもないんだけど、
何故かずっと俺の隣にいた。
智美は相変わらず人気者だから、沢山のクラスメイトから声を掛けられていた。
いつも笑っていて声が大きくて、本当に人気者のまま。
でも、そのクラス会が終わってさっさと繁華街から離れていた俺に声を掛けてきた、
「やっぱり2次会行かないんだっ!」
後ろから大声で走り寄って来た。もう店を出たと言うのに余韻の残った笑顔のまま。
智美は俺の横に並びポケットに手を入れながら斜めに肩に掛けたカバンを揺らして、
俺を覗き込む様に続ける、
「行かないと思ってたよぉ! リョウ君。君は相変わらずだねぇ~
人付き合いは大切にせんといかんよ!(智美は俺の肩を叩いて言う) 気をつけたまえ!」
上機嫌だし、まるで酔っぱらいに絡まれているようだった。
さっきずっと隣にいたとは言え、二人だけで話した印象がなかったから何か不思議な・・・
長い時間横顔をずっと見ていた。今やっと目が合って話した気がする。
智美は表情が豊かで、怒った顔・笑った顔・睨んだ顔、自由自在。

「あっ?! トイレ行きてぇ!! ってかオシッコしたい!!  ちょっと待ってて」
智美は一方的にそう言って、目の前にあったコンビニに入って行った。
待つこと数分、
「ごめんごめんお待たせぇ~ はぁ~ぁ、すっきりしたぁ~ 漏らすかと思った」
ハンカチをカバンにしまいながら俺に言う。
本当に元気娘で体育会系のまま、それが抜けていない。
俺は少し呆気にとられて智美の顔を見ていた。歩きながらだが・・・
「?? 何? 私下品?? まずいなっ、少し大人の女にならんとなぁ」
彼女は作った真顔で颯爽と前を向いて歩いてみせる。
俺は笑っていた。

さっきクラス会の時に横顔を見ていて思った。横を歩いている智美を見てなお思った。
綺麗になった気がする。
年齢のせいなのかもしれない、化粧をする様になっているわけだし・・・
でも、元気+スポーツのイメージだけだった彼女とは違う印象を受けた。
相変わらず元気で賑やかさは健在なんだけど、ちゃんと色気を感じる。
他の女の子たちから見れば髪は短く黒いままだし、メイクも最低限。
はしゃぎ過ぎやよくやる変顔がブレーキをかけているはずなのに、魅力的に見えた。


二人は付き合う様になった。
元々離れていて、さらにその後に違う道を歩いていたんだけど、
あの隣に座っていた時間だけで、お互いに隣の席を前にした居心地を感じていた。
後から聞いた話も含めて解釈すると、
共学だった彼女は高校時代に部活の事・彼氏の事で少し苦労したようだ。
そんな彼女は存在すら忘れていた俺を横に置いて、今までに感じない何かを感じたよう。
俺もまた、形だけの恋愛とあの嫌な男子校での想い出を引きずったままで、
楽しく元気いっぱいの彼女の魅力を再確認してしまった気がする。
クラスの中には好きな子がいた。学年で1.2を争う美人だった子。
でもクラス会で久しぶりに見かけたら、なんて言うのか変な方向へ変わってて・・・
それがあったせいかなお更、変わらずに、でもずっと綺麗になった気がした智美。
とても魅力的に感じた。きっかけも彼女が作ってくれた。
優柔不断で覇気のない俺を引っ張ってくれた。

“ここへ行きたい!” “あれが食べたい!” “それをやりたい!”
子供みたいに正直で、そのパワーも強引で、まるで大型犬に振り回されている感じで。
でも、智美の楽しそうな顔、なんか幸せになれるんだよなぁ・・・
口の中いっぱいに物を入れて大きく目を開いて食べたり、
ちょっとでも色気のあるポスターなんかを見ているとハードなパンチをくれたり。
それでいてはしゃぎ切った後には子供のような寝顔を見せたりして・・・
智美は俺をどんどん好きにさせた。
あれだけ元気で言いたい放題・やりたい放題なくせして、俺が見ていると照れて赤くなる。
「見んな! (それでも見ていると) 見んな! 顔見んな!!」
智美は顔を背ける。
でも、ちゃんと智美からの想いも伝えてくれる。ぎゅっと・・・
まだ体の関係は1回だけの、キスばかりの青いカップルだけど。


智美はカラオケが大好き。俺は・・・ 苦手。
今日も智美主導で、デートの行程は決まっている。
学生同士で予算も少ないから、綺麗で最新の設備があるカラオケ店には行かない。
きょう来ているのは、少し郊外にあるもう古くなっているボウリング場。
24時間営業ではあるんだけど、壊れたゲーム機が多かったり、
各フロアもあまり綺麗には掃除されていない。まぁ、安いだけが取り柄の場所。
5・6階がボウリング場・娯楽施設が入っていて、受付は5階。
集客が少ないせいなのか設備が古いせいなのか、6階は使われていない。
俺たちが使っているカラオケルームがあるのは5階の一番奥で、5部屋並んでいる。
独立した部屋を置いたような簡易タイプで、飲料・菓子は近くの自販機で買うシステム。
ボウリングのレーンも反対側の一番奥から利用していて、平日のこちら側は静かだ。
それにトイレが中央付近にある関係で、カラオケルーム側は人の数も少ない。

智美は今日も元気。そんなに大声でよく声が嗄れないなぁと思うぐらいの歌いっぷり。
でも・・・
今日は少し悶々としている俺。
何故かと言うと、それは今日の智美の服装にある。
確か身長は164センチだったかな。基本的にスレンダーで、特に足がスラっとしてて。
それが本当にそのまま表れているようなソフトデニムの茶系のストレッチパンツ。
智美はお尻も小さいから、下半身がいやらしく見えるわけじゃないんだけど・・・
長くきれい過ぎて目立つ感じがして。
しかもそれを強調させるって言うのか、上が問題で・・・
薄い生地のもろフィット感いっぱいのグレー系のタートルネックのニット。
おもいっきり体のラインがそのまま出てるような。
智美はスレンダーで胸が大きいわけじゃないんだけど、周りが細過ぎる。
だから胸の膨らみがそのまま表れていて、隣にいる俺はやり切れない気持になる。
きっと全体として綺麗で、性格やキャラクターと関係なくモデルっぽいラインなんだ。
でも、本人のその性格を知っているし、何より外の男に見られるのが嫌だ。
男なんてファッションなんて関係なく、胸の膨らみだけを楽しんでいる。
智美が激しく歌う度に智美の胸も激しくバウンドして・・・


俺は悶々としたまま一人でトイレに行った。アルコールの追加も兼ねて。
用を済まし自販機で2本目のビールを買っていると突然声がかかった。
「あれっ?! 亮介? 亮介だよな!」
俺は声のする方向を見た。
・・・・・・・
顔を見た瞬間にドキっとした。そして一気に黒い雲に覆われてしまった。
そう、高校の時に中心となって俺をイジっていた奴らだった。
彰則と徹。
彰則はそのグループのリーダーの様な存在で、徹はいつもその横にいた。
派手ではないが、当時よりもより柄が悪くなった感じになっている。
「久しぶりだなぁ~」
そこから始まり、色々と話して来た。
俺にとっては重く大きな黒い記憶だが、彼らはそんな事も忘れたのか懐かしそうに話す。
動揺してしまい、智美の事など忘れて彼らの相手をしてしまっていた。
すると俺の帰りが遅い事を心配したのか、智美がやって来て、
その智美に後ろから声を掛けられた事でやっと我に返った。

「知り合い?」
智美は俺の横に来た。
「彼女?! 初めまして、高校のクラスメイトで俺は彰則、こっちが徹」
彰則が智美に挨拶した。
例によって智美は誰とでもすぐに仲良くなれる。それも俺の旧友ならなお更意識して・・・


智美の性格もあって、奴らも自然に俺たちのカラオケに合流してきた。
行儀よく丁寧な言葉を使かい感じ良くしている。
でも、徹の視線は智美の尻、そして胸を見ていた。俺には分かった。
俺の気持ちとは裏腹に、智美と奴らは盛り上がる。
気持ちよく拍手して声を上げる奴らに智美も上機嫌、奴らに向いて歌う。
でも、智美が画面に視線を向けている時には智美の揺れる胸元を見ながら二人で話し、
智美の曲が終われば、奴らはハイタッチで智美を迎え入れる。
カラオケが苦手の俺は蚊帳の外どころか、智美も一緒になって、
「もぅ~ ノリ悪いなぁ~  アキ君・トオル君も盛り上がってんじゃ~ん・・・」
まるで俺が邪魔者の様になっていた。

盛り上がるせいで智美も喉が渇くのか、次々にビールを空ける。
智美は元々体育会系のノリが大好きだし、酒が弱いわけじゃない。
俺も“飲みが足りない”とか言われながら、次々に飲まされる。
本当に賑やかだ。もうボロボロの部屋で外に音も漏れそうだけど、ここはボウリング場。
そしてここは一番奥、それも通路から一番反対側の端の部屋なので誰も文句は言わない。
俺は少し酔っていた。智美は相変わらず元気だが・・・
背中をソファーにつけて智美の歌っている画面を眺めていた。
不意に奴らの方を見ると耳元で何か言いながら、彰則が徹に何かを渡していた。
その直後、徹は“飲み物買ってくる”と言って部屋を出て行った。
徹が帰って来るまで少し長かった気もするが、相変わらず部屋は煩くて。
「遅かったじぇねぇか!」
彰則にそんな風に大声で言われた徹は、
「すまんすまん、両替にフロントまで行っちゃってさぁ・・・」
徹はそのままプルタブを開け、歌っている智美にチューハイを差し出した。
智美は汗をかくほどに盛り上がっていたし、買って来た徹への感謝なのか、
俺たちの前で豪快に飲むところを見せた。
智美は飲んだ後にチュウハイの銘柄を見ながら、
「まずっ!! これ、苦くねぇ? 私あんまりチューハイって飲まないから・・・」
そう言うと、「じゃぁ、こっちは?!」
そう言ってもう一つのチューハイを智美に差し出した。
智美はそれも勢いよく飲み、また、
「えぇ~?! これも苦いよっ。このメーカーってまったくセンスないね!」
そう言いながら飲みかけの缶をテーブルに置き、智美は歌い続けた。

「おい、智美ちゃんの飲みかけ、俺たちが飲むわけいかねぇから・・・」
彰則は俺に差し出し、さらに、
「せっかく徹が買って来たんだから、こっちも空けろよ!」
そう言って俺の前に智美が飲みかけにしたチューハイを二つ置いた。
彰則は少し怖い顔で俺を見た。
その威圧感もあって、俺は続けざまに智美の残りを飲んでしまった。
確かに智美の言う通りまずいし苦い。粉っぽい何かが口の中に残る。
少し酔っている俺は、自分の方を疑ってみたけれど・・・
それから何曲ぐらいだっただろうか。
元気だった智美の声の出が悪くなり、音程も外れるようになった。
そして曲の途中でソファーに座ってしまった。
「なんか・・・ ごめん、トイレ行ってくる・・・」
智美はそう言って少しふら付きながら入り口に向かい、
扉をもたれながら開けて部屋を出て行った。
「俺、智美ちゃん心配だから見て来るよ!」
徹が続いて出て行った。

彰則が話しかけて来た為、智美を心配しながらも俺は彰則の話を聞いていた。
でも、俺も少し気分が悪くなっていて・・・
ついには横になってしまった。
「大丈夫か? それにしても智美ちゃんと徹も遅いな。俺、見て来るよ!」
彰則も部屋から出て行った。
俺は意識が朦朧とする中で、奴らがいなくなった事に不自然さを感じていた。
数分意識が遠退いたが、智美が大半を飲んでいたせいで残り少なかった事もあり、
朦朧としたままながら、起き上がる事が出来た。
俺も部屋を出た。そして智美を探す・・・

ふらふらとボウリングの方へ行ったりトイレ周辺に行ったり、
目の回る中、それでも必死に探した。誰一人見つからない。
一番奥のカラオケルームからはトイレは手前だし、どこにも行くところなどない。
少しずつ不安になり、そして徐々に嫌な予感が大きくなって来ていた。
奴らの顔、そして智美の今日の服装、そして智美を見ていた視線・・・
どこにも見つからず、再びカラオケルームに戻ろうとした時、視線に入った!
カラオケルームから近い場所、それも通路奥の暗い先に階段がある!!
一気に不安が最大化した。
俺はその薄暗い、“関係者以外立ち入り禁止”のポールが立てられた階段に向かった。
入り口は塞ぐように物が積まれており、誰も入るような入口ではないが・・・
だから余計に気になった。
人気のない一番奥のこの場所、そしてトイレやフロントとは逆方向の死角。

恐る恐る踊り場に向かい、その静かな場所に立って止まった。
下からは微かに物音が聞こえてくる。確かレストランが入って営業しているはず。
階段の上を見た、“6階”
上からは何の音もしない。確か使われていないフロア・・・
俺は静かに階段を上った。
途中階の踊り場まで来ると、5階の音さえさらに静かになる。
上は真っ暗で、非常灯の灯りだけが燈っている。
そして6階。
何もない・誰もいないと思ったのだが・・・


「あっ、あっ、あっ、、 あっ、あっ・・・」
人の声が聞こえた。智美??
静かに階段から6階のフロアに出ようとした瞬間、俺は視界に入った光景に驚き、
非常扉を兼ねた壁に身をひそめてしまった。
なぜ隠れてしまったのだろう。俺は・・・

ショックだった。
智美はニットを捲り上げられて胸を鷲掴みにして揉まれていた・・・
それも彰則の上に載って。智美のパンツは横に落ちている、もう下は穿いていない。
そして徹を口でやっている・・・
もう何も考えられない。
俺たちはまだたった一度の体の関係しかない若葉マークの恋人。
いつも明るくて元気な智美は、エッチな事を考えた時の俺に対しても健康的に接した。
なのに今、何してるんだ!!
今思えば、智美と奴らがあの場所で一緒になった時が運命だったというのか。
智美は活発で好奇心いっぱいの女の子だけど真面目に変わりない。
こんな奴らにやられたら、智美は大変な事になる・・・
奴らを見ていた俺には直感のようなものがあった。あったのに・・・

智美はどんどん声を荒げて行く、髪を振り乱して。
俺の見た事のない智美。
徹に対しても、自分でしている。しっかり持ったその徹のモノを自分でやっている。
信じたくない。
でも、あまりにも非情で・・・
彰則の上で激しく体を揺らして、徹の相手を出来ないほど体全体で感じている。
いってしまったのか、彰則が智美を大きく突き飛ばすと、
今度は徹が四つん這いになったままの智美を倒して仰向けにし、智美に載った。
続けざまにされている智美はさっきのまま、いや、それ以上に声を上げている。
激しく顔を歪めて仰け反り、腕で自分の顔を隠すような体勢で徹を受け止めている。
徹には腹の上に出された。徹はそのまま智美の口にペニスを突っ込み、
そのまま口で掃除させた。智美はやっていた・・・

俺がショックで反対側の壁に背中につけて座り込んでいると、こちらに光が見えた。
そしてあの携帯・スマホやデジカメでよく聞くシャッター音がした。
智美は撮られていた。体を汚された全裸のまま、顔を押さえるも何枚も何枚も・・・


俺がもう動けないでいると、奴らが出て来た。
「おぉ、いたのか。楽しませてもらったよ。智美ちゃん最高だなぁ、足きれいだし、
胸もちょうどいい大きさじゃない。感触も最高だよ。
それにさ、キスも上手いけどフェラは申し分ないよぉ。結構好き者なんじゃねぇの?!」
俺はただ俯いていた。奴らは笑いながら去って行った。

静かな場所だ。俺たちの会話は筒抜けで智美に聞こえていたと思う・・・
智美は静かに起き上がり、ニットを直していた。
「見てたの? ・・・」
俺と目を合わせる事もなく、気怠そうに横にあったパンツを座ったまま穿いていた。
「されちゃった、あいつらに。二人にやられた。もう知ってるかっ・・・」
上下の服を着終わり、智美はこちらに来た。
「もう終わりだね。写真まで撮られちゃって・・・」
智美はその場に泣いて崩れた。
俺はそんな智美を不自然な格好で抱きしめてやるだけだった。


カラオケルームにもどった。俺たちは離れてすわり無言のまま。
テーブルの上に散らかった大量の飲み物が奴らの存在をそのまま残している。
「別れよう。リョウにも迷惑が掛かるかもしれない。あいつらまたやってくる、きっと。
どうすればいいのか分からないよぉ。あんな奴らに・・・
また抱かれるなんて想像しただけでおかしくなりそう。やっぱり警察に行くしかないか。
もう終わりにして。リョウまで巻き込むつもりないからっ!
自分が悪かったんだよねぇ・・・  安心しきってた。バカな女だね、私・・・」
今は泣いてはいない。智美は冷静に俺に話をしている。
ソファーに大きくもたれて天井を眺めたり、テーブルの先を見る様な視線をしたり。
いずれにしても、その部屋にいる間じゅう、横方向にいる俺の方は見なかった。


二人は外に出た。
来る時はこのボウリング場の無料送迎バスでやって来たが、彼女は歩き出した。
方向が違う、きっと歩いて駅へ向かうつもりなのだろう。覚悟を感じる。
駅までは歩けば40分以上かかるだろう。でも、俺も彼女を追った。
会話はない。情けないけど彼女に掛ける言葉が浮かばない。

俺はまだ引きずっていた・・・
“奴らの上で舞った智美”を。
まだ彼女との距離感さえ固まらないままのこんな時期に疑うような光景を目にして。
女性があれだけの事をされる事はどれだけ大変な事なのか、
頭では分かっているつもりでも、よりによって奴らに・・・
俺は卑怯で情けない男だ。傷ついた体で前を歩いている、それも大好きな智美を、
そんな智美を全力で守ってやれないなんて。疑ってしまっているなんて・・・

途中で雨が降って来た。それも一瞬にして激しい雨になった。
智美はずぶ濡れになっても、ただただ同じペースで歩く。
ずっと会話もしないまま。後ろを振り向く事もしない。
でも、大きな雨音に混じって、彼女のすすり泣く声が聞こえて来た。
俺は彼女との距離をつめ、彼女の腕を掴んで振り向かせた。
土砂降りの中でびしょ濡れになっていても、真っ赤にしたその顔で分かる・・・
思い切り抱きしめた。冷たいその体を。
「汚れてるよ。あいつらに抱かれた女だよ。もう、、、、、、」
俺は彼女の言葉を遮って彼女の口を塞いだ。キスで。
健康的な彼女に、そしてまだまだ距離のあった彼女にこんな激しいキスをした事はない。
大切なんだ、そばにいて欲しいんだ。
クラス会で俺の隣に座っていた時のあの最高の笑顔をまた見たい。それだけ。

土砂降りの中ずっとキスをしていた。
途切れそうになればそれまで以上に激しく、そしてさらに激しくと。
俺たち二人には似合わないような激しいキスを・・・


男と女の間には色々ある。
俺たちには消えない大きな事故があったのだから。
今もその大きな傷も気持ちも小さくはなっていない。
でも、智美を思う気持ちは何倍も大きくなった。
だから俺たちは切れていない。
あの時土砂降りになっていなければ・・・
黒く厚い雨雲を見る度、そんな事を思う様になった。




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