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「雨雲、そして二人はずぶ濡れになってⅡ」





ボクは大学に通う電車とは反対方向の快速電車に揺られた。
自分の住む30万都市の賑わう駅から45分、県を跨いでお隣の県の10万都市の駅へ。
毎日ボクが使っている駅の賑わいとはそれほど変わらない駅前だけど、
その周りにそびえている景色が違う。
遠くに薄っすらと山の景色を抱えているし、澄んだ空の色が何より違う。
バスターミナル。一番のりば・二番のりば・・・
年配の人が多く並ぶ市役所・病院回りの一番のりば、ボクの同世代が並ぶ大学行きの二番、
その先にまとめて三番・四番・五番ののりばが重なっているが、
その三つののりばを合わせてもバス一台分の乗客程度しか並んでいない。
ボクの目的は4番のりば。もう何回か来た事があるから不安感などない。
ボクの乗る少し読みにくい地域名の行先のバスがのりばにやって来たが、
乗車したのはボクを含めて五人だけだった。
この時間は午前の通勤・通学時間のピークは終わっているものの、
まだ上り(駅行き)のバスがメインの時間帯。
行先はマイナーな場所だが、途中にショッピングセンターや団地を経由する路線なので、
下りの時間帯になればそれなりに込み合う路線なのだが。

出発して5分程度で到着するショッピングセンターで二人下車。
団地入口バス停で一人、そして団地中央バス停で一人が下車。
毎度の事ながら、その団地を過ぎればバスは貸し切り状態、
運転手さんとボクだけの贅沢なドライブが、
終点少し手前のボクの下車するバス停まで続く。
団地を過ぎて10分走れば、街の景色から少しずつ寂しくなって行き、
乗り始めて45分、すれ違うクルマさえ少ない田舎の道はほぼ時刻表通りに走り、
やがて田畑ばかりの景色になったところ、そこがボクの目的のバス停だ。
静かな場所に降り立てば、バスの扉がしまるブザー音もそこに響く。
エンジン音とともに走り去るバスを見送り、ボクは畑伝いに歩く。
走って行ったバスは2.3分走った先の行先表示の終点のバス停で待機、
そして次の“駅行き”としてボクが下車したバス停に戻ってくる便となるのだ。
数十分、時に数時間先という、まぁ本当に田舎の路線。

バスで来るのは・・・  2年ぶりぐらいだろうか。
いつもなら家族とクルマで来るし、直近の正月にも来ている。ボクの母の実家だ。
母のお兄さん(長男)が本家の跡継ぎとしてこの土地に残り住んでいる。
去年まで伯父さん家族は6人家族でこの土地で暮らしていた。
だけど去年の年末におじいちゃんが亡くなってしまい、
そして従兄の祐樹さんが会社近くの場所で1人暮らしを始めてしまったので、
今はおばあちゃん・伯父さん・伯母さん、そして麻里佳さんの4人になっている。

この場所に今回ボクが1人でやって来たのは・・・
母からの頼まれ事、と言うか父が九州へ長期の出張中という事もあり、
ボクしかいなかっただけなんだけど。
現在母は入院中(軽い胃潰瘍)で、その母の“急ぎの用”を頼まれた。
相続の事とか難しくてよく分からないけど、“財産放棄に関する委任状”とか・・・
要するに、母親は法的に自分に来る財産を拒否するという趣旨のものらしい。
本家と言っても田舎の農家だし、金額としても数百万程度のものらしいが、
最後まで看取った自分の兄(ボクの伯父さん)、そしてその家族への恩、
それが当たり前だと笑っていたし、ボクの父も同じ考えのようだった。
書類関係・手続き関係が大変なようで、この話も慌しいものだった。
ボクはその封書を持って、その目的で不便なこの場所に。
バス停からバス通り→農道→あぜ道、15分もかかる。
やっと到着。

母屋の玄関で何回も呼び掛けたが、まったく静かで応答がない。
諦めて作業場(いつも集まってそこで作業している)に行こうとした時、
奥から麻里佳さんがやって来た。
「あぁ~  龍也くん、来てくれたんだ。 ごめん、こっち誰もいなくって。
   おばあちゃん田中医院に入ってて、父と母、作業してるの。
   私、これから出かけるところで着替えてて・・・  出るの遅くなった、ゴメン!」
いつもの麻里佳さんも美人だけど、今日はドキっとするほどめかしていた。
風が吹き抜けそうな軽く薄そうな生地の夏物のレースのブラウス、
前髪を少しだけ下ろして後ろで束ねた髪、スカートは少しだけ夏を感じさせる丈の物。
いつもよりしっかりされたメイクのせいか、少しだけ出ている太腿の肌のせいか、
ボクはドキドキしてしまった。
いままで麻里佳さんがそこまでメイクした姿なんか見た事がなかったし・・・
いつもは部屋着・スエット姿とかが多かったし、ナチュラル系のメイクの人だから。
頬が少し紅く、目元がダーク系で強調されて強く感じるし、
眉毛もなんか・・・  化粧品のポスターみたいな感じがして、少し照れてしまう。
元々ボクの憧れのお姉さん的存在で、昔から大人でしっかりした人。
春から臨時採用で念願の小学校の臨時教諭に採用された、一応、小学校の新人先生。
25ぐらいだと思う。
だから余計にメイクしてバッチリ系の麻里佳さんには意外性もあって・・・


用事は書類を渡すだけ、お礼を言われお茶を頂けばボクの仕事は終わりだ。
「私も11:45のバス乗るから、一緒に行こうか?!」(麻里佳さん)
「何言ってるの、お昼ごはん一緒に食べるのよ!」(伯母さん)
「いらないよぉ~  若い子はそんな田舎の食事は口に合わないの!」(麻里佳さん)
「せっかく来てくれたのに・・・」(伯母さん)
「いいよ、バス本数少ないんだし、私が駅前で御馳走するから・・・」(麻里佳さん)
「えぇ~  しょうがないわねぇ~」(伯母さん)
“じゃあ、これもって行きな!”と伯母さんは麻里佳さんに5千円渡していた。
「儲かっちゃった(笑)、何か美味しいもの食べよう!」
麻里佳さんはそう言って、伯母さんの意見を遮ってボクと同じバスに乗る事にした。
11:25分ぐらいに挨拶して玄関を出発。
玄関を出ると、空の色が少し怪しくなっていた。
「あれっ? 今日って天気良い予報だったよね?! 傘、荷物になるからなぁ・・・」
確かに天気予報では一日晴れマークだったので、ボクも、
「そうですね、今日は一日中晴れマークになってましたから大丈夫だと・・・」
と答え、少し迷った麻里佳さんだったが、“身の軽い方”を選んだ。

喋りながら畑の道を数分歩いた頃だろうか、少し雨がポツポツと降って来た。
「バスに乗っちゃえばね。どうせ帰りには晴れてるわけだし・・・」
麻里佳さんは綺麗なメイク顔に少し雨を受けながら笑っていた。
束ねた髪のせいで顎の輪郭も見えて、横を歩いていると横顔が気になって仕方ない。
今までも綺麗な人だなぁとは思っていたけど、メイクのせいもあって刺激が強くて。
歩き始めて10分近く経った頃だと思う、突然大粒の雨に変わり、
そしてここは田舎、近くに山が見えているような場所、
空を覆うような真っ白に視界を塞ぐような大雨が僕らを襲った。
バス停に向かって必死で走るが、もう走り始めた時点で顔を滴るほどの雨。
麻里佳さんの少しだけ下ろした前髪には水滴が滴って、首元も濡れて光っていた。
そんな状態のまま10分以上戻るより、
あと3.4分で着く屋根のあるバス停を目指した僕らだったのだが・・・

滑り込んだバス停の屋根の中、しかしその代償は大きく、
「うわぁ~  スカートまで絞れるかも・・・(呆れ笑い)」(麻里佳さん)
髪を拭いているハンカチも、何度も絞っている。
ボクも勿論ずぶ濡れで、靴の中にまで水が入り込んでいるし、途方に暮れた。
「駅に着いたらタオル買おうね、5千円あるし(笑)」
麻里佳さんは笑っているけど、むしろボクの方が全身ずぶ濡れに凹んでいた。
自分の体を拭きながら、不意に見た麻里佳さんの足元。
少しヒールの高いサンダルを履いた足先が、そして膝まで泥が飛んでいた。
上がって、スカートは水を吸って濃い色へと変色し、そして・・・
ブラウス!  ブラウスがその・・・
出発の時に感じた軽くて薄い、そのまま夏の風が吹き抜けそうなそれが、
その存在を無くしてしまったかのように、まるで濡れた金魚すくいの和紙のように・・・
無いものになっていた。
もちろん繊維が消えてなくなるはずもないが、視界的には存在しないようだった。
真っ白なブラジャーがもうそのまま存在くっきりで、しかも、
よくよく見ると中にあるブラジャー・肌までもが完全に濡れているものだから、
そのブラジャーの中の先端部分まで透かしていたのだ。

ボクは突然言葉が出なくなってしまった。
本人は気が付いているのだろうか・・・  必死で首元や手先を拭いているし、
下を見て服やスカートが散々な事、もちろん気付いているはず。
でも・・・  鏡は無いし角度的なものもあるのか、“そこまで透けている”
そのレベルにまでの意識はないのだろう。
背中側を向けば、生地は張り付いて、背中の肌はそのままだし、
ブラジャーの肩紐だって本当にそのまま。そのまま外せそうな程。
一気に静かになってしまったボクに、
「ねぇ、大丈夫?!  けっこう打たれ弱いタイプ??(笑)」
自分の今の状態の深刻さに気が付いていないのか、本当に気にしていないのか、
ボクの方が困っていた。

二人ともずぶ濡れになった事ですっかり忘れていたが、バスが来ない。
もう定刻より5分以上過ぎている。
こんな田舎のバス停、それも始発の場所から2.3分の場所で、いつも定刻に来る場所。
なのに来ない。
「おかしいねぇ・・・  大雨ぐらいじゃ関係ないしね・・・」(麻里佳さん)
自分の腕にはめた細く小さい腕時計を何度も確認する。
すると突然、少し弱まってはいるがまだ本降りの雨を気にせずバス停の時刻表を見に。
まるで食らいつく様に今の時間と照らし合わせる麻里佳さん・・・
「あぁぁ!!  やっちゃったかも。そうだ、先月から土曜ダイヤ・・・
   そうだよそう、土曜ダイヤを休日ダイヤと一緒に戻したんだよぉ~ 」
麻里佳さんはバス停に掴まったまま顔を地面に向けてショックを隠しきれない。
雨はさらに麻里佳さんの背中を濡らす。
「麻里佳さん、しょうがないですよぉ、次のバスってそんなに開くんですか?」
とボクが聞くと、さっと顔を上げて時刻表に食い入る。
「えっと・・・  あぁ、あるね、12:20の便があるや。良かったぁ~」
そう言って笑顔になった。
でも、またさらに肩から雨を受けてしまい、渇くどころか元に戻してしまった。
それから5分ほどしてだろうか、
乗用車で降ろされた学生服を着た少年たちがバス停にやって来た。4人。
助手席に一人、そして窮屈な後席から降りる時から賑やかな三人の四人組。
周りを気にしないような声の大きさ・話し方、嫌な感じがした。

少年たちはバスの時刻表を見た後、濡れないようにこの待合所の中に入って来た。
ベンチが一つあるだけの、軒先を含めても6人になれば少しうっとうしい密度になる。
駆けこんで来た最初の一人が既に麻里佳さんを気にしていた。
最初に見ていたのはその顔だと思うが、あっという間に視線が下がったのが分かる。
続いて一人、また一人。仲間内で会話しているようでいて、
チラリチラリと麻里佳さんを見ている。それも麻里佳さんの透けたブラウスの姿を。
ボクはまずいと思い、麻里佳さんに話しかけて極力横を向かせるようにするが、
少年たちはボクの前に移動したり、その反対側の壁寄りに移動したり、
麻里佳さんの上半身が見える場所を探しているように動く。
ボクがそんな少年たちに視線を向けても知らん顔で、チラ見が続く。
そして一番外側にいた二人が耳元でコソコソ話をしていたかと思うと、
その二人が振り向いてスマホを使うようになった。
他の仲間が笑いながら、
「お前やるなぁ~  後から俺にも見せろよ!」
「そっか、そうだよなぁ、その手があったな。  俺もやってみっか」

ボクには何の事なのかが分かる。想像できる。
だが、どうしたらいいのか・・・
ボクが迷っているうちに先に麻里佳さんが反応した。
「ちょっと!  撮っるよねぇ?!  やめてよぉ!!  撮らないで」
そのスマホを持つ手が一瞬引いたように見えたが、また元の位置に戻り、
「何の事ですか?  自意識過剰なんじゃないですか。 
自分のこと美人だとか思ってるでしょ?!  みんな自分を見てるって?(笑)」
麻里佳さんもその堂々とした反応に一瞬黙る。
そんな間にもスマホの数が増えて3台になっていた。
「ねぇ、本当にやめて!  いい加減にしてよ、学校に言うよ!!」
麻里佳さんが少し大きな声で怒った表情でそれを少年たちに言うが、
彼らはまったく引かない。それどころか、ついに堂々と麻里佳さんの胸元に向けた。
もう一人は近づいて顔を接写した。
怒った麻里佳さんはそのスマホを手で掃う。
その瞬間、そのスマホがコンクリートの地面へと落ちて鈍い音がした。
「あぁっ!!!  ふざけんじゃねぇーよっ!!  てめぇ、これ買ったばっかだぞ!」
彼の怒鳴り声が狭い待合所の中に響く。
麻里佳さんはそれでもそれに動じず、他にもある自分の胸元を撮っているスマホに向かい、
ベンチから立ち上がって掴みがかった。
「やめろよ、放せよ!  触んじゃねぇーよ!!  触るなって・・・」
スマホを高く遠い位置に持ち上げて麻里佳さんに触らせない。
そして、そのスマホを奪おうとする麻里佳さんの後ろ姿もスマホが撮影している。

ボクもさすがに“やめろよ!”ぐらいは言うものの、
自分の立場、そして麻里佳さんの勢いもあるし、ガラの悪い少年への恐怖心もあり、
何とかその中にいるだけの状態だった。
麻里佳さんが必死に背伸びして高く持ち上げられたスマホを奪おうとしていた時、
後ろにいた少年が麻里佳さんを羽交い絞めにした。
「よしなってば、少しぐらいいいじゃない。減るもんじゃないしさぁ。
   こっちがそんないやらしい姿見せてくれなんて言ったわけじゃないでしょ?!
   お姉さんがスケスケのおっぱいを俺たちに見せつけたんじゃないの!
   お姉さん露出狂?  俺たち誘ってんでしょ。卑猥な格好してんのそっちだよ!」
麻里佳さんは羽交い絞めされたまま暴れ、相手を蹴ろうとしたりするものの、
思った以上にがっしりと押さえ込まれてしまっていた。
そして見事に突き出した状態にされた透けた胸元も接写されていた。
「いい加減にしろよ!  警察呼ぶぞ!」とボクが言ったが、
「いいねぇ~  呼べよ!  さっさと警察でも何でも呼べよ!!」と少年は怒鳴り、
ボクを待合所の外へ突き飛ばした。
そんな間にも、
「触っちゃえよ!  胸揉んじゃえよ。 ってか、撮らせてもらおうぜ、生チチ」
少年たちの一人が麻里佳さんの胸を掴み、そしてブラウスのボタンを外し始めた。
ボタンが二つぐらい開かれた時に、
「そいつ邪魔だよ、どっかに縛りつけとけよ!!」と、その一言で、
麻里佳さんを羽交い絞めにしたままの一人を除き、3人の少年がボクを押さえ付けた。

ボクはバス停横にあった大きなゴミ捨て場のアルミ製倉庫の中に押し込まれてしまった。
カラスや害獣よけなのか、本当に頑丈な大きなゴミ捨て箱。
上面のスライド式の蓋を開け、そこに押し込まれて蓋を閉じられた。
外の掴む部分を何かで固定されたのか、それとも重さや摩擦のせいなのか、
どこも掴むところのない中からは、どうしても滑って開けられない。
暴れて大声を出そうとも、思った以上に丈夫でがっしりしているし、
横と後ろ側に通気の為なのかメッシュ部分がところどころあるものの、
こんな中で叫んだって、外側に響くわけがない。
それに元々誰もいないし、近所に民家なんてないし・・・
待合所の方から微かに麻里佳さんの声が聞こえている。少年たちの元気な笑い声と共に。
明らかに少年たちに押さえ込まれたまま悪戯されているようだ。
「おいおい、興奮するなぁ~」
「開けろ開けろ!  そうだ!  おっぴろげぇ~!!(笑)」
「撮っちゃおぅ~  しっかり顔も頂いちゃおう~っと。 アイドルより美人じゃね?!」
「乳モミモミぃ~  おおぉっ!!  生チチ最高っ!」

頭がおかしくなりそうだった。臭く狭い薄暗い場所に閉じ込められて、
従姉の麻里佳さんが大変な目に遭っていると言うのに・・・  何も出来ない。
そうしていると、麻里佳さんが羽交い絞めのまま待合室から連れ出された。
まだ小雨が降る中、バス停の裏側にある木々が生い茂る林の方へと。
一瞬だがボクに見えた、胸元が開かれ真っ白なおっぱいを開いたままの麻里佳さんを。
そして押さえ込む一人と他の3人の計4人に囲まれて奥へ奥へと入って行く。
数十メートル入った場所、少し平坦に広がった場所に麻里佳さんは押し倒された。
そことボクのこの場所の間に少し低い雑草が生い茂っているが、
その密度がまばらだから、全体的なシルエットは見えている。
麻里佳さんの頭の方で麻里佳さんの手首を押さえつけている少年、
足先に座り込んで麻里佳さんの足首を掴んで押さえつけている少年、
そして・・・
麻里佳さんの下半身に乗り上がって剥き出しにされた真っ白なおっぱいを触る少年。
しかもその姿を撮影している少年も。麻里佳さん・・・
悔しい、何も出来ない。
大きな音をたてて、定刻通りのバスが通過して行った。

スカートも脱がされてしまった。そして白いパンティも。
横たわる麻里佳さんの数メートル離れた場所にまで飛ばされて散乱。
まだ制服を着た少年だっていうのに、彼らがやっている事は・・・
大人顔負けの犯罪だ。それも恐ろしく残酷なもの。
麻里佳さんは実際に全員の少年にカラダを許してしまった。
真っ白な肌が泥だらけにされた。それも全裸に近い姿にされ。
少年たちが走り去った後、数分間麻里佳さんは動かなかった。
きっと泣いていたのかもしれない。
やっと起き上がり、茶色く濡れ汚れたブラウスのボタンを閉め、
そしてやはり泥で汚れたスカートを穿いてゆっくりこちら側に歩いて来る。
破り取られてしまったブラジャーを着けていないブラウス、
汚れはあるものの濡れたままのせいで、おっぱいがそのままの形で見えていた。
近くに来た時、張り付いて立体的なその形の通りになっていて・・・

ボクが閉じ込められていたゴミ捨て場の扉を開けてくれた。
「大丈夫?!」
力無く微かな声で視線を合わせないままボクに麻里佳さんは言う。
ボクは何も言えなかった。
黙って家の方向に歩き出し、
「黙っててくれる?  こんな事・・・」
「シャワー浴びたい。着替えないと・・・」
「もう昼ご飯終わってると思うから、母屋には誰もいないと思うし、
   大雨の中で転んだって言えば・・・  大丈夫だよね・・・」
大丈夫のわけはない。だけど、“えぇ”という相槌しか出来なかった。
全身が濡れたまま、それもドロドロになり上半身が透けたまま、
麻里佳さんと家に戻った。
確かに母屋には誰もいなかった。そして麻里佳さんは、
「私・・・  シャワー浴びるね。 2時過ぎにバスがあると思う・・・
   一緒にいるの辛いな。 ごめん、一人で行ってくれる。
   この事・・・  黙っててくれるよね。 ごめんね・・・」
麻里佳さんはそのままシャワーへ消えた。


ボクはそこにいる事が出来ず、早々に麻里佳さんの家を出た。
バス停に着いてすぐにバスがやって来た。1:45と言うバス。
考えもせずに来て、こんなにスムーズに乗れてしまうなんて・・・
さっきの出来事は何だったのだろう。嘘のように思える。
でも・・・  麻里佳さんの汚れ方とは比べ物にならないが、ボクも全身濡れたまま。
そして泥汚れ、さらにゴミ置き場に落とされた時の臭いだろう、
少し臭いニオイが付いてしまっている。
でも、そんな汚れや小さい傷も気にならない程、ショックな出来事があったのだから。

少年たちに犯されてしまった麻里佳さんの姿、鮮明に残っている。
いや、そんな事が起きる前の、
濡れた顔、透けてしまったブラウス姿、ブラジャーの中身まで透通した前面。
背中がそのまま広がっていた肌のままの後ろ姿。
バス停から羽交い絞めのまま連れ出された時の、あの真っ白な綺麗なおっぱい。
そして・・・  ドロドロにされながら少年たちが跨った麻里佳さんの肉体。
本当にショックだったのが何なのか、もう分からなくなってしまった。
好きだった親戚のお姉さん・従姉を目の前で犯された事。
何も出来なかった自分が恥ずかしいし、麻里佳さんからどう思われたのかも。
でも、それでも・・・
チャイムを押して出て来た麻里佳さん、そして顔を雨で濡らした時の麻里佳さん、
ボクは綺麗だとドキっとしたと同時に、何かムラムラと湧き上がるものを感じていた。
そしてずぶ濡れのあのブラウス姿の麻里佳さんを見てしまったボクには・・・
こんな出来事、それは最悪な事態のはずなのにそれだけに思えない自分がいる。


“お礼の電話”  そんな名目で麻里佳さんからの電話がボクに代わられた。
もちろん家族が近くにいるわけだから具体的な事など言わない。
「この前・・・  ありがとうね。 なんかごめんね、何も出来なくって・・・」
まとまらない言葉、誰よりその理由を知っているボクだから・・・
気の利いた相槌も出来ないまま、その電話は切れた。

ごめんね、麻里佳さん。ボクは麻里佳さんを助けられなかっただけでなく・・・
あれからあの時の麻里佳さんを思い出し、厭らしい想像をして使っている。
ボクは麻里佳さんでオナニーをしてしまっています。本当にごめんなさい。
でも、本当に綺麗でした。あの時の麻里佳さんを忘れる事は出来ません。



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